全世界で新型コロナウイルスの嵐が吹き荒れる中、啓発活動はどうあるべきなのか。世界自閉症啓発デー in Hakodate 2021の活動は、その問いから始まりました。感染対策が地域の最重要課題となり、多くの市民活動が自粛を求められています。地域経済も疲弊し、明日がどうなるかもわからないという状況で、正直イベントどころではない、という方も決して少なくありません。
しかし私たちは、そのような中だからこそ世界自閉症啓発デーの活動を継続し、発展させていくことに意味があると考えました。なぜなら、誰もが自分のことだけで精一杯になりがちなときほど、「見えにくい障がい」と言われる自閉症をはじめとするマイノリティーの人たちの姿が社会の表舞台からは見えにくくなってしまうからです。
どのくらい地域の方々の理解を得られるのか。イベントと感染対策を本当に両立できるのか。多くの不安を抱えたままのスタートでしたが、実際に活動を開始すると、多くの方々から例年と同じかそれ以上のご協力、資金提供のお申し出、そして応援の言葉をいただくことができました。
特に、地域の中には協力や活動の場を求めている人たちが思いのほかたくさんいらっしゃったこと、そのような人たちとつながっていくことで活動が新たな広がりを見せ、例年以上に多くの方々に私たちのメッセージを届けることができたことは、うれしい誤算だったといっていいでしょう。
感染症の終息はまだまだ見通すことができず、厳しい状況が続いています。しかしそのようなときだからこそ、多くの人たちに自閉症の人たちのことを知っていただき、それぞれの人たちがそれぞれの立場でできることを一緒に考えていきたい。
この報告書は私たちのこの一年の活動を知っていただくためのまとめであると同時に、次の年に向かって走り出す、その決意表明の書でもあります。多くのみなさまに手に取っていただき、私たちの活動へのご理解と応援を賜ることができれば幸いです。
令和3年4月
世界自閉症啓発デー函館地域実行委員会 一同